派遣の導入を考えるときに気になるのは、派遣定着率ではないでしょうか。定着率とは、入社した従業員が一定の期間を経ても離職せずに勤務を継続している割合のことです。反対の意味にあたるのは離職率。企業の運営にとっては、離職率は低く、定着率が高いことが望ましいと言えます。
定着率の計算方法に決まりはありません。「何年に入社した人材が何年後にどれくらい残っているか」を示すのが一般的ですが、データにする年数は会社によって異なります。
派遣定着率を意識すべき理由は、定着率が低いとデメリットがあるからです。人手不足や経営への悪影響も考えられます。実際に起こり得るデメリットを確認しておきましょう。
派遣定着率が低い場合にすぐに影響するのは、人手不足の悪化です。働き手が余っている時代なら定着率が低くても生産活動をつないでいけるかもしれません。しかし今は人手不足の時代。従業員の確保は重要事項です。欠員補充がすぐにできるとは限らないため、予定していた生産活動に影響が生じる可能性が高まります。
派遣先に人員が補充できないとなれば、派遣会社への派遣先からの評価は下がります。派遣先からの評価が下がれば、取引のチャンスが失われる可能性が高いです。派遣会社は、派遣社員が就業しないことには売上が立ちません。また、短期間で辞められると、派遣先の開拓や人材募集などのコストの回収もできない可能性があり、経営には悪影響があります。
派遣定着率の向上は、派遣先企業にとっても派遣会社にとっても重要です。定着率を改善するためには、原因を分析し、適切なアプローチを行いましょう。有効な改善方法には、勤怠管理とマッチング、フォロー体制があります。
欠勤は離職の前触れのことがあります。逆に言えば、勤怠管理を行い、欠勤に気づけば、離職を防ぐ施策も行えるでしょう。欠勤や勤務不良の原因の多くは、「働きづらさ」です。従業員が働きづらいと感じていることがないか、原因を分析して対策を講じることで、欠勤を減らし、離職防止にもつながります。
そもそも「仕事内容と従業員の希望」「必要なスキルと従業員のスキル」にミスマッチがあれば、早期離職につながることは当然と言えます。厚生労働省のデータでは、派遣契約の中断理由の約半数が「派遣労働者の技術・技能に問題があった」でした。どの業務でどのようなミスマッチが起きたかを分析して、マッチングの精度を高めていくことが大切です。
定着率は、派遣先と派遣会社の連携によるフォロー体制で改善できます。派遣社員の不安や違和感、困りごとなどの芽がまだ小さいうちにフォローし、派遣先・派遣会社の間で共有することで、離職を防止しましょう。特に派遣会社が積極的にフォローすることで早期離職を食い止めることに繋がります。